Interactive / MRI Physics

TOMI Lab

触って学ぶ、画像の原理。
教科書の数式が、指先の操作でどう動くか—— その直感を挟むための小さな実験室です。

01 / k-space

k-space エクスプローラ

左は頭部ファントムのMRI信号を並べた k-space(生データ)です。グリッドをクリック・ドラッグで 埋める(マスクする)と、右の再構成画像が即座に更新されます。 どこを残し、どこを捨てるかで、画像が何を失うかを見てみてください。

PHANTOM · 128×128 · 2D-FFT
k-space(マスクを編集)
再構成画像(逆フーリエ変換)

中心付近(低周波)はコントラスト・大まかな形の情報、周辺(高周波)は細部・エッジの情報を担います。 矩形マスクの縁では Gibbs 現象(リンギング)も観察できます。 実際のMRIでは位相エンコード方向に沿って1行ずつ(またはセグメントごとに)k-space が埋まります。

02 / TR · TE

TR / TE コントラストデモ

スピンエコーの簡単化モデル S = PD · (1 − e−TR/T1) · e−TE/T2 に基づいて、TR と TE の組み合わせが組織コントラストの「傾向」をどう変えるかを示します。 スライダーを動かすか、プリセットを選んでください。

SPIN ECHO · SIMPLIFIED MODEL
擬似頭部画像(組織ごとの信号量)
500ms
15ms

スピンエコーの簡単化モデルによる「傾向の直感」用デモです。実機の信号系(受信感度・パルス系列・その他のパラメータ)は再現しません。 組織定数は 1.5T の代表値(簡略)を使用しています。 短TR・短TEではT1の差が、長TR・長TEではT2の差が効いてくる——その感覚をつかむための道具です。

03 / Reference

用語クイックリファレンス

撮影パラメータとMRI物理の基本用語を、一言で引き出せるカードにまとめています。

TR 繰り返し時間 くりかえしじかん

同一スライス(または同一ボリューム)のRFパルス励起から、次の励起までの時間。縦磁化の回復度合いを通じてT1コントラストに影響する。TRを短くするとT1強調、長くするとT1の影響が減る(プロトン密度・T2の寄与が相対的に残る)。

TR ↑ → プロトン(縦磁化)回復が進む

MRI
TE エコー時間 えこーじかん

RF励起からエコー信号の中心(読み取り)までの時間。横磁化の減衰度合いを通じてT2(T2*)コントラストに影響する。TEを長くするとT2強調、短くするとT2の影響が減る。SNRは一般にTE延長で低下する。

S ∝ exp(−TE / T2)

MRI
TI 反転時間 はんてんじかん

反転回復(IR)系パルス系列で、180°反転パルスから90°励起パルスまでの時間。TIを選ぶことで特定組織の縦磁化がゼロとなる時点を狙い、信号を抑える(STIRでは脂肪、FLAIRでは液体の抑制に利用)。

MRI
FA フリップアングル(傾斜角) ふりっぷあんぐる

RFパルスが縦磁化を傾ける角度。スピンエコーでは主に90°/180°を使うのに対し、グラジエントエコー(GRE)では小角度励起が基本。FAとTR・T1の組み合わせで信号が最大となるErnst角が決まる。

S_GRE ∝ sinα · (1 − e^(−TR/T1)) / (1 − cosα · e^(−TR/T1))

MRI
ETL エコートレイン長 えこーとれいんちょう

高速スピンエコー(FSE/TSE)で1回のTR内に読み出すエコーの数。ETLを増やすと撮像時間は概ね ET L 分の1に短縮できる一方、エコー間のT2減衰差によるブラー(ぼけ)が強まりやすい。

撮像時間 ≈ TR × 位相エンコード数 × NEX / ETL

MRI
NEX / NSA 加算回数 かさんかいすう

同一データの繰り返し取得回数(信号加算回数)。NEXを増やすとSNRは√NEXに比例して向上するが、撮像時間はNEX倍になる。平均化によりランダムノイズは相対的に抑えられる。

SNR ∝ √NEX

MRI
BW 受信帯域幅 じゅしんたいいきはば

読み出し(周波数エンコード)方向で受信する周波数の幅。狭帯域化でSNRは向上するが、周波数差が画素幅をまたぎやすくなり化学シフトアーチファクト(水和脂肪の位置ずれ)が強まる。広げるとノイズ取り込みが増える。

MRI
マトリックス

画像を構成するデータ点数。周波数エンコード方向(読み出し点数)と位相エンコード方向(位相ステップ数)で構成され、FOVと組み合わせて画素サイズが決まる。位相方向を増やすと撮像時間が延びる。

画素サイズ = FOV / マトリックス

MRI / CT
k-space(ケイスペース)

MRIで取得した生データ(信号)を並べる周波数空間。各点は画像の逆フーリエ変換に対応し、中心付近は低周波(コントラクト・大まかな形)、周辺は高周波(細部・エッジ)の情報を担う。埋め方(軌道)にはラスタ、EPI、ラジアル、スパイラルなどがある。

MRI
T1 縦緩和時間 たてかんわじかん

RF励起で傾いた磁化が縦方向(B0方向)へ回復する時の指数関数の時定数。組織ごとに異なり(1.5Tで白質≈780ms、灰白質≈1000ms、CSF≈4300ms 程度の代表値)、T1強調像のコントラストの源になる。

Mz(t) = M0 (1 − e^(−t/T1))

MRI
T2 横緩和時間 よこかんわじかん

横磁化(位相のそろった信号)が減衰する時の指数関数の時定数。磁場の不均一を含む実効的な減衰はT2*として区別される。T2強調像では液体が高信号となる。

Mxy(t) = M0 e^(−t/T2)

MRI
FOV 撮像視野 さつぞうしや

画像化する解剖学的範囲。FOVとマトリックスから画素サイズが決まり、位相エンコード方向で対象がFOVをはみ出すと折り返し(エイリアング)が生じる。

MRI / CT